外環道工事にともなう道路陥没事故と大深度地下使用法
今回は私の地元にとっても重要な外環道工事に伴う道路陥没問題について書きたいと思います。
東京都調布市の住宅街で昨年10月に起きた道路の陥没事故は、ニュースでも大きく取り上げられたのでご存じの方も多いと思います。陥没した道路は、東京外かく環状道路(外環道)トンネル工事の真上にあたり、工事を進めている東日本高速道路(NEXCO東日本)は昨年12月、トンネル工事との因果関係を認めて住民に謝罪しました。私の選挙区の武蔵野市でも今後外環道の工事が予定され、市や市議会も安全性確保を強く懸念していることから、1月15日と22日の2回にわたって国土交通省と東日本高速道路の説明を受けました。
最初の説明は地表の道路が陥没した地下における掘削工事の進め方など技術的な説明が中心でした。私は技術的な問題も重要だが、それ以上に2001年に施行された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度地下使用法)が、民法207条の「土地所有権の範囲」の例外規定であり、大深度での工事は地表に悪影響を及ぼさないという「大深度地下使用法」の前提が崩れたのではないかと指摘しました。つまり民法207条の「土地の所有権の範囲」には「土地の所有権は、法令の範囲内において、その土地の上下に及ぶ」と規定しています。土地を所有している場合、土地の地下部分も原則として所有権が及ぶ、という考え方です。
大深度地下使用法は、地下40メートルより深い土地について、公益性のある事業では、国などの認可を受ければ用地買収を行わずに地下工事をしてもよい、と民法207条の例外を定めた法律です。「それだけ深い場所の事業であれば、地上に影響を及ぼすことがない」ということを前提とした法律です。東京など3大都市圏で地下における公共事業を進めるうえで、土地収用を行わないで公共工事を行うことを可能にし、工事期間の短縮やコストの削減につなげることが、この法律の狙いです。
今回の陥没事故は、法律の施行後初めての重大な事故となりました。「深さ40メートルより深い地下の工事は地表には影響しない」という大深度地下使用法の大前提が崩れた、と言ってもいいでしょう。徹底的な原因究明とともに、今後どういう対応が必要か、十分な議論が必要です。リニア中央新幹線の工事でも、この大深度地下使用法が適用されます。安全性をしっかりと確保するためにも、改めてリスクをきちんとチェックすることは欠かせないと考えます。
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