地球温暖化をどう阻止するか

新型コロナウイルスの感染急拡大は、世界における目下の最重要課題の一つですが、もう一つ忘れてはならないのが「地球温暖化をどう阻止するか」です。その意味で菅(すが)義偉総理が「2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標を掲げたことは歓迎していますが、相変わらず原発に頼って目標を実現しようとしていることは容認できません。温暖化対策を原発再稼働や新増設の理由づけに使おうとしているのではないか。そんな疑念さえ抱きます。

そもそも原発問題はもう「推進か反対か」という次元を超えて「決着している」というのが私の考えです。たびたび述べているように、太陽光発電と農業を両立させるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の普及などにより、日本全国で1年間に消費される電力のすべて再生可能エネルギーで賄うことが、技術的に可能になっています。

再エネで発電した電力の一部を使って水を電気分解すれば、CO2を発生させることなく大量の水素を作ることができます。この水素をコークスの代わりに製鉄作業の際に使うことができれば、製鉄で排出されるCO2を大幅に減らすことが可能です。

これまで原発推進の姿勢が目立ったメディアの論調も変わってきました。日本経済新聞は先月、ソーラーシェアリングに関する大きな特集記事を掲載。産経新聞や読売新聞は、先月から今月にかけて「水素利用」に関する記事を掲載しました。自民党の衆院議員も最近、脱原発を主張する著書を出版しています。

「再エネ・水素社会」は技術的に可能です。必要なのは政治力です。コロナだけではなく、ここでも菅総理の手腕が問われています。

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