緊急事態宣言

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、菅(すが)義偉総理は4日の記者会見で、今週中にも東京など首都圏1都3県に緊急事態宣言を発する考えを明らかにしました。

私たち立憲民主党は昨年から、緊急事態宣言の発出を急ぐよう求めてきました。あまりにも遅きに失した感は否めませんが、ともかくも総理の決断は評価したいと思います。

その上で、総理経験者の1人として、菅総理にアドバイスしたいことが、二つあります。

一つは「緊急時には常に、最悪の事態を想定して対応する」ことです。

私は10年前、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故という「国難」に総理として直面しました。覚えているのは、近藤駿介原子力委員長(当時)に、原発の「最悪の場合のシナリオ」を作ってもらったことです。楽観的な見通しを前提に対策を考えると、事態が想定より悪化した時に、的確な対応ができないからです。

菅総理は「GoToトラベル」の一時停止の判断が遅れるなど、状況を過小評価して対応が後手に回っている印象があります。意識を変えることが必要です。

もう一つは「野党も含めた多くの知恵を借り、その上で総理自身が責任を持って決断する」ことです。

立憲民主党には枝野代表、福山幹事長をはじめ、当時の私の内閣で、東日本大震災と福島原発事故に対峙した経験を持つ同僚議員が多数います。緊急事態宣言の根拠法でもある新型インフルエンザ等対策特措法は、民主党政権の時に成立しました。野党ではありますが、国難級の危機に対応した経験や知見の豊富さは、現政権に負けてはいません。

緊急事態宣言の発出にあたり、枝野代表は4日、国会対応について、前例にとらわれず政府に協力する考えを示しました。菅総理には、自分の考えた政策に固執して頑なになってしまう傾向がありますが、ここはどうか野党の力も借りて、国民のために最善の道を探り、局面を打開してほしい。そう切に願っています。

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