検察庁法改正案とロッキード事件

検察庁法改正案の今国会成立が見送られることになりました。インターネットに端を発した反対世論の高まりに加え、多くの検察OBから反対の声が上がったことも、大きな影響を及ぼしたと思います。

注目しているのは、今回の改正案に反対の意見を表明した元検察官の多くが、1976年のロッキード事件で捜査にあたった検察OBであることです。逮捕された田中角栄前首相(当時)は、すでに首相の座を退いていましたが、当時は自民党最大派閥を擁しており、絶大な権力を誇っていました。検察はその圧力に負けず、勇気をもって捜査に踏み切ったのです。その当事者たちが今回の法改正に強く異議を唱えています。

ロッキード事件は私にとっても思い出深い事件です。私は1974年、田中内閣下の参院選で、金権選挙を批判する市川房枝さんを担ぎ出して選挙を手伝いました。その後「ロッキード選挙」と呼ばれた76年の衆院選でも、政治腐敗に対峙する象徴的な候補を出そうと奔走。結局、私自身が無所属で出馬しました。この時を含めて3度の落選を経験しましたが、80年にようやく衆院議員に初当選しました。ちょうど40年前のことです。

検察のあり方に問題を感じることが全くないわけではありませんが、今回のOBの皆さんの行動には、当時を覚えている者として強い共感を覚えます。

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