工業国家・技術国家日本の再建

このコロナ危機が一段落した後の世界がどういう道をたどるのか、その中で日本がその教訓をどう生かして将来像を描くことができるのか。比較的身近な日本の事から考えてみます。

日本は1945年の太平洋戦争の敗戦から立ち上がり、一時はジャパン・アズ・ナンバーワンと言われる世界第二の経済大国にのし上がりました。しかし21世紀に入りすさまじい勢いで中国が台頭し、中国はこの20年の間に米国と並ぶ経済大国・技術大国に変貌しました。

この20年間、日本は何をしていたのでしょう。私は弁理士として世界の特許出願を見てきました。30年前には日本の特許出願件数が世界最多で、内容的にも米国に次ぐものでした。それがこの20年で、中国は出願件数で世界最多となり、内容的にも米国と競い合うまでにレベルアップしました。日本が得意としてきた半導体技術においても、今や米国や中国に追い越されています。

そして日本は、工業製品の製造も、多くを中国をはじめとするアジア各国に依存するようになりました。貿易収支をみても、かつて貿易黒字に大きく貢献してきた製品輸出の割合が減少し、中国など訪日外国人の観光による黒字が占める割合が急増しています。

日本がコロナ危機から立ち直るうえで、こうした日本の在り方を根本的に再考することが必要です。人件費が相対的に安いからと言って工業製品の製造を中国など諸外国に依存してきた結果、日本は技術的にも中国に追い越されたのです。空洞化した日本の製造業を本格的に立て直すことが必要です。

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