関電疑惑の本質はどこに
新型コロナウイルスの感染拡大が大きなニュースになる中でも、忘れてはいけない問題は、政治の世界にはたくさんあります。関西電力の多数の幹部が、関電の原発が立地する福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)から高額の金品を受領していたことが発覚した問題も、その一つです。何が問題の本質なのかを、改めて考えてみました。
問題の背景に、原発を建設するための関電の地元工作があることは誰の目にも明らかであり、ここで繰り返すまでもありません。それに加えて、電力会社を監督すべき経済産業省が、国民の利益以上に「関電の利益」を守ろうとし続けているところに、問題のもう一つの本質があります。
4月3日の衆院経済産業委員会に、関電の森本孝社長が出席しました。質疑を通して、原発建設の議論が始まった当時から、関電から高浜町長の個人口座に多額の資金が振り込まれ、その現金が町長から、原発建設に抵抗していた漁協関係者に提供されていたことも明らかになりました。
そして森本社長は、福島原発事故があったにもかかわらず、今もって原発再稼働のために、関係会社を通して地元自民党政治家にパーティー券などを購入していることを認めました。
この問題について経産省は、関電が依頼した第三者委員会による報告を待っていただけで、自らの責任で関電に対する調査を全くやろうとしていません。
電気事業法は経産省に対し電力会社の許認可権を与えており、不祥事があれば電力会社への立ち入り調査もできることになっています。経産省は電力消費者、つまり国民の利益を守るために、電力会社に対する強い監督権限を与えられているのです。
にもかかわらず、梶山弘志大臣からは、国民の立場に立って厳しく電力会社を監督する姿勢は見えず、電力会社の利益を守る姿勢しか感じられませんでした。 経産委員会には、いわゆる第三者委員会のメンバーにも出席していただき、さらに真相を明らかにする必要があります。しかし、ことは関電だけの問題ではありません。経産省は、この問題に関する自身の責任の重大さをもっと自覚すべきです。
電気事業法は第1条に「電気の使用者の利益を保護」する義務が規定されています。「電力の安定供給」だけが経産省の義務ではないのです。
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