発送電分離

 
今日の経済産業委員会で「発送電分離」について梶山弘志大臣らと議論しました。

発送電分離とは、電力会社から送電部門を切り離すことをいいます。 大手電力会社はこれまで、全国の10地域ごとに、火力や原子力などの発電部門、電柱や電線などの送配電部門、小売りの3部門を独占する体制をとってきました。

電力自由化により、ガス会社など異業種から多くの企業が「新電力」として発電事業に参入しましたが、発電した電気を家庭や企業に届けるには、従来の電力会社の送電網を使うことになるため、大手電力会社が新電力による送配電網の利用を制限したり、高い利用料金を取ったりするなど、公平な競争ができない可能性が懸念されていました。

発送電分離によって送電部門の中立性が高まり、大手電力会社と新電力会社が送電線を公平に利用できるようになれば、競争が進んで電気料金の引き下げが期待できるほか、再生可能エネルギーを利用して発電した電気を売りたい新電力の成長を促す効果も見込めます。

私は総理時代の2011年5月、福島原発事故を受けた国のエネルギー基本計画見直しの中で、この発送電分離を検討する考えを示しました。大手電力会社は当初「安定した電力供給ができなくなる」と消極的でしたが、原発事故から10年目となる今年、ようやく発送電分離が実現することになります。

しかし大きな課題があります。

日本が実施する発送電分離の形は「法的分離」と呼ばれます。大手電力会社の送配電部門は発電・小売り部門を抱える大手電力の子会社となります。人事交流は制限されるものの、資本関係を残すことは認められるため、子会社の送配電会社が親会社の大手電力会社の利益を優先してしまい、結局、公平な送配電線の利用につながらない恐れがあります。

これに対し、送配電部門を資本関係のない完全な別会社とする「所有権分離」という方法もあります。

自然エネルギー財団のコーべリエル理事長は、3月10日の朝日新聞「私の視点」で「海外の電力システムで最も低コストで運営されているのは、送電網が公共事業体の所有・運営で、発電事業者と経済的な利害関係がないものだ」「送電事業者は発電事業と所有権が分離されて初めて、すべての発電事業者に対して中立的であると信用される」と指摘しました。

私はこの指摘について経産省の見解を質しましたが、梶山大臣の答弁は所有権分離を「将来的な課題」としつつ、法的分離による送電会社の中立性については直接答えませんでした。

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