東日本大震災と福島原発事故から9年を迎えて

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から、きょう11日で満9年となりました。亡くなられたすべての皆さんに改めて哀悼の意を表するとともに、原発事故により住み慣れた土地を離れ、今なお帰還がかなわずにいる皆さんに、心からお見舞い申し上げます。原発事故発生時の総理大臣として、大きな責任を感じています。

地震が発生した瞬間、私は参院決算委員会に出席していました。国会で感じたあの時の大きな揺れを、今も体が覚えています。 官邸に戻った私は、まず被災者の救出に全力を挙げることに集中しました。阪神・淡路大震災(1995年)の鮮烈な記憶と、震災翌日の上空視察で甚大な津波被害を目の当たりにしたことから、自衛隊10万人の出動を要請しました。

一方、原発事故は発生から時がたつごとに深刻さを増していきました。ほとんど寝ることもできなかった最初の1週間のことは、今も頭に焼き付いて離れません。

原発事故が収束せずに拡大していたら、日本が壊滅してもおかしくない事態でした。最悪のシナリオに至らずに済んだのは、原発の現場で作業員の皆さんが命がけで頑張ってくれたおかげです。

彼らの生命を危機にさらしてまで、東電の原発からの撤退を阻止したことは、私の人生における最も重い決断でした。 現場で身体を張ってくださった皆さんに、改めて心からの感謝と敬意を表したいと思います。

最近、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、政府の危機管理にも改めて大きな注目が集まり、原発事故もこうした観点から振り返られることが増えてきました。私自身、9年前のあの体験を振り返りつつ、危機管理のあり方について改めて真剣に考えています。

※事故対応とくに、なぜ福島第一原発にヘリで飛んだか、「海水注入」の真相、なぜ東電本店に乗り込んだか、についてウェブサイト「福島原発事故」特設ページで説明しています。

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