奨学金という名の学資ローン

先日もこのブログに書きましたが、立憲民主党青年部が企画した「逆転!?おしゃべり教室」というイベントに参加しました。学生が「先生」になってさまざまなテーマについて「講義」し、政治家が「生徒」になって質問するというものです。このイベントに「生徒」として参加したことで、今日の学生が抱えている奨学金問題の深刻さを改めて知ることができました。

私が大学生だった50年前の1970年、国立大学の授業料は年間1万2000円でした。当時の大卒初任給は3万円前後。その半分程度の金額で年間の授業料を支払うことができました。私立大学はその6〜8倍かかりましたが、それでも年間8万〜10万円程度でした。

ところが現在、授業料は国立で年間約54万円、私立では学部にもよりますがおおむね100万円前後となっています。当時に比べ物価が上昇していることを勘案しても、金額は上がり過ぎています。

大学生の約半数が「奨学金」を受けていますが、現在の奨学金の大半は、返済が必要な「学資ローン」。無利子と有利子を合わせた学資ローンの残高は、総額約9兆5千億円にものぼります。

住宅ローンであれば、住宅を取得する時点で自分にどの程度の収入や貯蓄があるかが分かっているので、返済能力に合わせてローンの額を選択できます。しかし奨学金は、学生が卒業後に社会に出た後、どの程度の収入が得られるかがはっきりしていない時点で借りることになり、結果として過大な負担となってしまうケースが多いのです。社会に出た時点で多くの借金を抱えた若者たちが、結婚したり子供を持ったりすることをためらうのは当然でしょう。

授業料を奨学金に頼らざるを得ないのは、親の経済力が十分ではない家庭の子供です。奨学金は、親の経済格差が子供の世代に連鎖し、格差を固定化してしまう原因にもなっているのです。

このような「返済が必要な奨学金制度」は、抜本的に改革しなければならないと考えます。

アメリカの大統領予備選挙で善戦している民主党のサンダース候補は、学資ローンを免除する法案の提出を公約に掲げています。アメリカの学資ローンの総額は1兆6千億ドル、日本円にして170兆円です。日本の学資ローンの総額はアメリカの約20分の1程度ですから、制度を見直して全額免除することも十分可能なはずです。

問題解決には、当事者である若者が立ち上がることが重要です。若者は政治に対して冷めた目で見ていると言われますが、大学入学共通テストの英語民間試験や国語、数学の記述式試験の導入見送りが実現したのは、若者たちが「おかしい」と声を上げたことに政治家が呼応したからです。

若者の力で政策を変えさせることができれば、積極的に政治に参加しようと考える若者も増えるでしょう。「逆転!?おしゃべり教室」を主催した立憲民主党の一員として、若者の知恵と力を借りながら、国会でも積極的に取り上げていきたいと思います。

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