プラットフォームの経済学

近年、情報産業を中心に急成長する企業がある一方で、古くから続いた老舗企業が市場から淘汰される例が増えています。背景には、デジタル化の進展が社会のあらゆる分野で大きな変化をもたらしていることがあります。こうしたことを論じた本『プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?』を読みました。

本は2016年に世界一流のプロ棋士がコンピュータに勝てなくなった「コンピュータと碁」の話から始まります。私も囲碁が好きで長年楽しんできましたが、囲碁は打つ選択肢が極めて多いので、コンピュータが勝つにはまだ相当の年月がかかると考えていました。
コンピュータ自身で学ぶ「ディープラーニング」から生まれた人工知能(AI)の「アルファ碁」に、世界一流のプロの棋士が、こんなに早く勝てなくなってしまうとは。本当に驚きました。

この本では従来の情報産業に限らず、自動車も運転手も持たずに配車サービスを行う「ウーバー」の例をはじめ、あらゆる分野での変化を論じています。キーワードは「マシン」「プラットフォーム」「クラウド」です。ここで言う「クラウド」とは、大勢の人が持ち寄るお金や知恵が生み出す新しい形の企業活動を指します。クラウドファンディングが分かりやすい例です。

こうしたデジタル革命は産業界だけではなく、政治社会にも大きな変化をもたらす可能性があります。先日参加した立憲民主党青年局主催の「逆転?おしゃべり教室」の試みもその一つです。20代の学生が先生になり、私を含む既成の政治家が生徒になる。「プロ」の政治家ではなく「クラウド」、すなわち大勢の人の意見が政治を動かす新しい仕組みの可能性を感じました。

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