原発事故10年目の真実 始動した再エネ水素社会

著書


2021年 幻冬舎 1,300円+税
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総理として直面した福島原発事故から間もなく10年です。あの事故に直面した政治家の責任として、総理退任後は原発をゼロにすることを政治活動の中心としてきました。今回の著書でお伝えしたいのは「原発ゼロは実質的にはすでに実現しており、すでに勝負がついている」ということです。
原発事故から今日までの間に新設した原発はありません。原発の新設は世界的に安全基準が厳しくなっており、建設コストも従来の2~3倍に跳ね上がっているため、採算が合わなくなっているのです。原発の再稼働は大きなニュースになりますが、継続的に稼働している原発の数は極めて限られています。近年では日本全体のすべての発電量のうち原発による発電量は約3%程度。再生可能エネルギー発電の約6分の1にとどまっています。
また、農地にすのこ状のソーラーパネルを藤棚のように設置することで発電と農業を両立させるソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を全農地の40%に設置すれば、日本で必要な電力をすべて再生可能エネルギーで供給することが可能です。
「原発ゼロ」は、実質的にはほぼ実現しています。国民の立場に立てば、核廃棄物をこれ以上増やさないためにも、原発を諦めて再生可能エネルギー中心の発電にかじを切るのが望ましいことは、今やエネルギーの専門家の常識なのです。
現在もなお「原子力ムラ」による原発復権の動きはあります。菅(すが)義偉総理は昨年10月の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガス排出ゼロ」を掲げました。そのこと自体は私も賛成ですが、自民党がこのことを口実に原発回帰を図ろうとしているのではないか、と警戒しています。しかし、先ほどから述べているように「原発ゼロ」は実質的に勝負がついています。将棋で言えば「投了」の状態ですが、原子力ムラはそれを認めずに将棋を指し続けているようなものです。
新著では、なぜ原発ゼロが「勝負あった」なのかについて、私なりに解説を試みました。どうか多くの方にお読みいただき、ご意見ご感想をいただければと思います。

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