維新政治を表す第一のキーワードは、何と言っても「カジノ」です。維新は2度の住民投票で敗れた「都構想」は断念しましたが、カジノを含むIR統合型リゾートを断固として推進しています。維新が圧倒的な力を持つ大阪府と大阪市は、そろってカジノ誘致に全力を挙げており、府議会と市議会は3月に関連議案を可決しました。府と市は4月27日に、国に区域整備計画の認定を申請しました。

カジノについて維新は「大阪のにぎわいをつくる」などと主張していますが、間違っています。そもそも今はコロナ禍。景気浮揚を外国人観光客に頼るのは、当面は無理です。なにより、カジノは弱い人々をギャンブルに駆り立て、負けた者のお金で勝った者を潤わせる政策です。維新は「(政治家の)身を切る改革」をうたっていますが、カジノ推進は逆に「(国民の)身を切る」政策なのです。

私は2月にカジノ予定地とされる大阪湾の夢洲を視察しました。維新の松井代表(大阪市長)はこれまで、カジノ推進にあたって「公費負担はない」と説明していました。しかし昨年末、建設予定地に液状化の恐れがあることが発覚。市はこの対策のため、約790億円を負担すると決めました。結果として維新は、大阪の人々に嘘をついたことになります。「(国民の)身を切る」カジノ政策に、多額の税金がつぎ込まれるのです。

カジノは大阪だけの問題ではありません。維新の馬場共同代表は私に対し、カジノを含むIR施設については、民主的手続で決まるのであれば、どこであっても賛成と述べました。「民主的手続」つまり東京でも大阪と同様に各種選挙で維新が多数を占めれば、カジノを推進すると明言したのです。多くの人々を経済的に破滅に追い込み、格差を拡大させるカジノが、東京にも誕生するかもしれません。

横浜市では、港を愛する藤木幸夫氏(横浜港ハーバーリゾート協会会長)が旗を振り、市長選に勝利してカジノ誘致を阻止し、和歌山県では県議会が関連議案を否決するなど、自治体のカジノ断念が相次いでいます。

今後は国による区域整備計画の認定審査が始まりますが、審査は7月の参院選後までかかると予想されます。認定は国土交通大臣(現在は公明党の斉藤鉄夫氏)の権限ですが、多くの関係行政機関の長の同意が必要なため、大阪府・市の区域整備計画を国が認めれば、それは自民・公明両党がカジノを容認することを意味します。

つまり維新への一票はカジノ推進の一票に、自民・公明への一票はカジノ容認の一票になるのです。7月の参院選は、カジノ推進の維新を支持するのか、それに反対する立憲民主党を支持するのかを国民に問う選挙に持ち込みたいと考えています。

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