今日の一言

脱原発基本法の審議


 昨日、弁護士会主催の「脱原発基本法を考える」市民集会に参加した。この法案は先の国会の最終盤に国会に出され、継続審議になっている。


  国民の運動がきっかけで、国会が立法するということはこれまでにも何度もあった。脱原発という大きな課題でこれが成功すれば、国民の政治参加の大きな進展だ。

  

  もっともこの問題では経済界や自民党を中心に、国民の中にも脱原発に対する大きな抵抗勢力が存在する。ドイツではチェルノブイリ事故、そして今回の福島原発事故を経て、20年余りの議論を経て脱原発を決めた。日本においても、脱原発政策に疑問を持つ人たちを丁寧に説得する事が必要だ。そうした議論を国会の場でするためにも、脱原発基本法の審議が役立つはずだ。

本の見本刷り


今日、私の本の見本刷りが上がる。当時官邸にいた福山官房副長官、細野総理大臣補佐官、枝野官房長官もそれぞれ当時のことを書いた本を出版している。官邸から見た当時の状況はこれらを読んでもらえばよくわかる。


  私の本では、事実関係はもちろんだが、それ以上に、原発事故の渦中で、私が総理大臣として何を考え、それによってどう行動したかをできるだけ詳しく述べたつもりだ。今月26日に書店に並ぶ予定だ。

リトアニアの国民投票


リトアニアの国民投票で「原発反対」が過半数を大きく超えた。福島原発事故以来、世界的に原発に対する不安が高まった結果である。


  日本ではどうか。福島原発事故以来、高台に電源車を配置するなど、緊急対応がなされただけで、本質的安全対策は十分には進んでいない。テロなど何らかの原因で、原発の全電源喪失が生じた場合には、福島原発と同じようなシビアアクシデントが起こる可能性が大きい。


  経済界の一部と自民党は「原発ゼロ」は無責任という。しかし「原発事故はもう起きない」と言うのか。それならその根拠を示してほしい。単に物忘れがいいということでは済まされない。


  来週には「東電福島原発事故・総理大臣として考えたこと」という題の私の書いた本が出版される。


  その中に、福島第一原発を中心に半径250キロの円を描いた地図を入れた。その円内には、青森を除く東北地方の大部分、関東地方の大部分、そして新潟や長野の一部も含まれる。この範囲に住む人は首都圏の3千万人を含め5千万人にも上る。近藤原子力委員長の示した最悪のシナリオでは、この範囲の人々の避難が必要となるとあった。そうなっていたらと思うと、今でも背筋が寒くなる。

エイモリー・ロビンス博士


昨日、エイモリー・ロビンス博士と夕食を共にした。ロビンス博士は1977年に「ソフト・エネルギー・パス」を発表し、私も当時その本を読んで感銘を受けた。今回、「新しい火の創造」という本を出された。エネルギー効率の向上により需要を削減し、最終的には原発だけでなく、化石燃料も使わないで、再生エネルギーで必要なエネルギーの供給を目指しているという点で、私と同じ考えだ。


  博士はロッキー・マウンテン研究所の創立者で、省エネのすばらしい建物で研究しいる。私もそうした環境で、研究者として働けたらと、時々思う。


  英国の「原子力廃止措置機関」について調べている。この機関は、リスクの高い事業を民間原子力業者にゆだねることは適切でないとの判断から、指定された原子力施設の運転に加え、廃炉やプルトニウムなど危険物の処理、貯蔵、輸送、処分に関する事業を行う独立行政法人。

原子力廃止措置機関


  バックエンドについて考えている。 原発を稼働させると、自然界には存在しないプルトニウムが生まれる。プルトニウムと人類が共存できるのか、まずそのことが問題。


  現在日本にとって使用済み核燃料に含まれるプルトニウムが重荷になっている。従来、イギリスやフランスで再処理により取り出されたプルトニウムや、それをMOX燃料にしたものが、日本に送り返されていた。最近は、外国に委託した再処理をやめ、国内で再処理を行う事になっていた。


  しかし、日本国内では、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す六ヶ所村の再処理工場や高速増殖炉「もんじゅ」が予定通り動かないために、使用済み核燃料の保管場所がほぼ満杯になっている。


  原発を稼働しろと言っている人は、この問題をどうするつもりなのか。


  イギリスには原子力廃止措置機関(Nuclear Decommissioninng Authority)という組織がある。日本でも、各種の原子力関係機関を、プルトニウムの無害化、廃炉など、脱原発を実現するための研究、開発機関に再編成する事が必要だ。

無責任政党=自民党


 テレビ討論での甘利自民党政調会長の話を聞いても、自民党の原発政策は極めてあいまい。再生可能エネルギーの拡大に力を入れるべきという点では民主党と同じだが、バックエンドの問題など将来、原発をどうするのかがはっきりしない。本音は原発維持だと思うが、そのことを明言しないでごまかすつもりか。


  54基の原発のほとんどは自民党政権時代にできたもの。国の存続が危なくなるような事故を経験しながら、将来の原発政策を提示しないのなら、無責任政党=自民党だ。

世界の流れ・脱原発


 日本の原発ゼロ政策について、アメリカが関心を示している。一つは核兵器の材料となるプルトニウムを日本がどうするつもりなのかという点だ。この点はしっかり論点を整理して説明する必要がある。


  もう一点は日米の原子力産業の協力関係だ。スリーマイルの事故以来、米国内での原発建設が止まっていたので、米国の原発メーカは日本の原発メーカと連携して、最新技術による原発建設を考えていた。日本の原発ゼロ政策で、今後どうなるかという点だ。この点も議論を整理する必要がある。


  他方、米国をはじめ、世界的に原発離れが進んでいる。コストの安いシェールガスの開発や再生可能エネルギーの拡大で、米国でも原発建設に民間投資が集まらなくなっている。他の国でも原発建設のコストが上がり、新規着工は進んでいない。


  世界の流れは脱原発だ。

東電改革


脱原発と並行して、電力改革を進めなくてはならない。その突破口は東電改革だ。すでに東電は実質的には債務超過の状態にあり、政府の管理下にある。


  私はこの東電を改革のモデルにすることが重要と考えている。まず原子力部門を切り離し、国の設立する原子力公社に移すこと。そして発送電を分離し、東電は原発以外の発電と地域内の配電業務の会社として再生させることだ。

  

  こうすれば、電力会社の経営問題と切り離して、冷静に原発の在り方を議論でき、脱原発を進めることができる。また、発送電分離により、太陽光や風力、最新鋭の火力など多くの電力会社が参入できる。


  東電自体もこうなれば、風力発電など再生可能エネルギーによる発電やスマートグリッドなどによるエネルギーの効率化にまい進でき、雇用も守られる。


 自民党も原発問題を先送りせず、東電をどうするべきかなど、改革案を示すべきだ。

経済界の責任


  なぜ経団連会長はあれほどまでに「原発ゼロ」を批判するのだろうか。原発継続が長期的に見て、日本経済にとって本当にプラスになるのか、事故発生時のリスクの大きさや未解決なバックエンドの問題を含め、経済界でも冷静に検討してほしい。「原発ゼロ」が絶対悪でもあるかのような発言を聞くと、異常に感じる。



  電力需要に応じて発電施設を増やす、という考え方それ自体が古い考え方であり、需要をコントロールするという考え方が必要だということに気がつかないのか。スマートグリッドもその考え方だ。


  将来は原発ゼロで、化石燃料もゼロを目指す。これは決して夢ではない。技術革新で可能な目標だ。経済成長の大きな可能性を秘めた分野だ。原子力エネルギーは「古いエネルギー」だ。経済界をリードする人ならばそうした意見にも謙虚に耳を傾ける責任がある。

山中教授のノーベル賞受賞


 山中教授のノーベル賞受賞はすばらしい。若いころの功績が後に認められて受賞するケースが多い中で、山中教授はバリバリの現役。再生医療の分野での今後の成果が期待される。


  科学技術分野でのノーベル賞受賞者の多くは、アメリカでの研究経験が、飛躍につながっている。日本人社会の中では突出できにくい何かがある。ベンチャー企業においても同じだ。


  弱肉強食にならない、自由競争を実現することは難しいのか、考えさせられる。

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