今日の一言

ドイツの脱原発ロードマップ


  ドイツが脱原発を進めていることはこの欄でも何度か述べた。改めて詳しく説明したい。


  ドイツでは1986年のチェルノブイリ原発事故を契機に反原発運動が高まり、2000年、社会民主党と緑の党の連立によるシュレーダー政権が誕生。新規原発の建設停止と17基ある原発を2022年までに停止することを決定。


 しかし2009年に発足した、第二次メルケル政権は原発の稼働期間の延長を決定。


 そして福島原発事故を受けて、わずか4日後の3月14日、メルケル政権は旧型の原子炉7基を停止。その後7月までに、故障により停止中の1基の再稼働を認めず、残り9基についても2022年までに段階的に停止することを決めた。


 メルケル政権があらためて脱原発に急速にかじを切った背景には、緑の党の躍進がある。同時に10年以上の議論を踏まえての決定であり、昨年私がドイツ訪問した時の印象でも、経済界を含め国民的な合意となっていると感じた。

欧州原発事情


欧州で、原発の新増設を断念するケースが増えている。その原因は福島原発事故により安全性向上のためには巨額の投資が必要となり、採算が合わなくなったからだ。


 日本ではどうか。これまで、福島原発事故のような大きな事故は予想せず、電力会社はそれに見合う保険料は払っていない。核廃棄物の再処理や最終処分などの研究、実験的取り組みも多くは国費。これらのコストを考えれば原発は採算性上からも成り立たなくなる。


 一時的に、天然ガスなどの火力発電の比率が上がっても、ドイツが目標としているのように2050年に再生可能エネルギーの比率を80%まで引き上げることができれば、最終的にはCO2も削減でき、エネルギーの海外依存も小さくできる。


  当面の世界におけるCO2削減には、燃料効率の悪い途上国の火力発電を効率の良いものに変えていくことに、日本は貢献すべきだ。

続・電力供給


 昨日は、地元武蔵野市で国政報告会を催した。会場いっぱい、200人ほどの方が来場。私の報告の後、質問や意見を聞いた。多くの方の関心は原発問題にあった。


 国会では、前日に続いて資源エネルギー庁が電力供給予測について追加の説明にやってきた。前日問題となった、揚水発電が昨年に比べて大幅に減少することについて、私が指摘したように揚水ポンプを増設すれば発電量を昨年並みに確保できるが、それには大工事が必要で、かなりの時間がかかるという説明。


 また自家発電装置の増設は、関電管内でこの1年で100件余り。発電量は8000KWの増加という説明。1件当たり平均約80KWとは、企業の自家発電としてはあまりにも小さい量なので、再調査を求めた。


 大口の電力需要者に対する協力要請も、電力会社と共に行っているという。国民にも分かりやすく説明して、家庭用蓄電池の普及など、協力を求めるべきだ。

電力供給予測


 この間、原発を巡る動きがあわただしい。4月17日には第二回「脱原発ロードマップを考える会」を開催。脱原発を実現する期限を2020年、2025年、2030年とする3案が世話人から改めて提示され、次回、議論することになった。


 昨日4月18日には、元スウェーデンの環境庁長官で、現在「自然エネルギー財団」のコバリエル理事長と意見交換。福島原発事故以降、世界で原発の新規着工はなく、事故時の賠償など経済性から原発への投資を敬遠する傾向が強いという話を聞く。


 そして昨日は、資源エネルギー庁からも話を聞いた。この夏の電力供給予測で、ピーク時の揚水発電の電力量が昨年に比べて大きく減っているので、理由を聞いた。最初は夜間電力が不足というから、そんなはずは無いというと、今度は揚水発電所の発電時間が長くて、水を揚げる時間が少なくなるためという理由を挙げた。それなら短時間で水を揚げるためにポンプを増設すればいいではないかというと、改めて精査すると長官が話を引き取った。


 企業などの自家発電が拡大しているはずだがという 私からの質問に、「多くは自家消費なので電力会社が買い取れる電力は余り増えていない」という返事。しかし、自家消費が増えれば、その分、電力会社から買う電力需要が減るはずではないかというと、これも精査してみるとのこと。


 夜間電力を活用するために全家庭にスマートメーターを普及させる必要性についても話した。電力会社の準備が遅れているという説明。しかしこのことは昨年、私が総理在任中から指摘してきたことで、1年近くたっても準備中では努力不足と言わざるを得ない。


 ピーク時の電力不足に備えて、家庭用蓄電池の普及や病院を含め公共施設への自家発電に拡大など、打つ手はたくさんある。

現実的・原理的


脱原発に対する国民的議論が改めて高まりつつある。原発について技術的な観点、経済的な観点など冷静で現実的な議論が必要なのはもちろんである。


 しかし、それに加えて、人間の生き方を含む「哲学」的な観点、原理的な観点からの判断が必要。最近の議論はあまりにも「現実的」というのに流されやすい。


 私は今年1月、ダボスで、小型で新しい型の原発開発を応援しているビルゲイツ氏に会った。私からは原発開発でなく、再生可能エネルギーを支援してほしいと伝えた。再生可能エネルギーで必要なエネルギーを十分供給できるかという点に彼は疑問を持っていた。私は「大丈夫」と言ったら、その点を研究してみた上で、考えると答えた。


 世界の流れを原発から再生可能エネルギーに変えていきたい。

使用済み燃料


 原発の再稼働問題が焦点となっている。私は再稼働は慎重であるべきと考えている。しかしもっと重要な問題は何時までに脱原発を実現するかというロードマップだ。

 

ドイツ政府は17機の原発を10年後の2022年までに停止する事を決めている。民主党も脱原発依存の考えは変えていない。具体的なロードマップを示していない為に、後退している様に誤解されている。

 

 

 原発の 使用済み燃料をこれ以上増やしても貯蔵する施設がない。この点からも10年か15年以内には原発の運転は停止するしかない。

本末転倒


  野田政権は大飯原発の再稼働を「妥当と判断した。その大きな理由として今年夏の電力不足への配慮が挙げられている。しかし、あらゆる努力をしても本当に電力が不足するのか。


 昨年の夏も似たような論理で再稼働を求められたが、国民の理解を得て乗り切った。この1年で停止した原発も増えたが、同時に企業が自家発電などの自己防衛の努力も増えている。


 地震に備えて、病院などの自家発電機を備えたり、スマートメーターを入れて、夜間電力を値下げしたり、家庭用蓄電池にエコポイントをつけて普及を促したりして、ピークカットは相当に可能。


 電力会社とそこに融資している銀行などの経営上の観点から再稼働を促す動きがあるがこれは本末転倒だ。

国政選挙


 昨日、「脱原発ロードマップを考える会」が民主党の40名の議員本人出席で設立された。呼びかけ人や賛同人を合わせると60名を超える。


 飯田哲也氏の記念講演では、「リスク・便益」に留まらない原子力事故の破局性、「倫理」の観点で脱原発を決定したドイツ、といった興味深い話が聞けた。再稼働に関しても安全性を担保する体制が整っていないこと、電力需要を大きめに予測していることなどの指摘があった。


 企業は省エネや自家発電など自己努力を進めており、電力会社の需要予測は、再稼働を進めるためにバイアスがかかっている様に思える。


 平岡事務局長からは、改めて、脱原発ロードマップのたたき台が示された。


 私は、エネルギーの選択は、最終的には国民が決めるでありべきであり、次回の国政選挙をその機会にすべきだ、と述べた。

現在までに判明したこと



 昨年、日本人は自国で極めて重大な原発事故を経験した。これを、日本人一人、一人がどう受け止めるか、問われている。


 今回の原発事故で、現在までに判明したことだけでも大変なことだ。

①全電源喪失に対して、何の備えも訓練もしていなかったこと。

②事故の拡大により、首都圏からの避難が必要となり、日本が国家として機能不全に陥る可能性があったこと。

③使用済み燃料の行き場がなく、原発の建屋内のプールに大量に貯蔵されていて、大量の放射性物質の拡散の危険性があったこと。


 これらのことをどう考えるのか。日本の原子力技術を過信していただけでなく、原発に関係する組織や人材があまりにも欠陥だらけだったことは明らか。「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」では済まない。


 原発が稼働しないとわが国の経済に深刻な悪影響が生じると声高に主張する人がいる。本当にそうだろうか。

 原発の存続で、収益を受ける原子力村の人たちではないか。


 4月12日、「脱原発ロードマップを考える会」が正式に発足する。

脱原発か原発維持か


 原発、エネルギー問題が大きな政治課題になってきた。自民党は原発政策は10年間検討と言っている。昨年3.11にあれだけ大きな原発事故が起きていながら、これまで原発を積極的に進めてきた自民党が、何の方向性を示さないのは無責任であり、「逃げ」と言われても仕方がない。


 原発に対してどういう姿勢をとるか、次の国政選挙ですべての政党に問われる。エネルギー政策は最終的にはエネルギーを使う国民が決めることだからだ。


 各政党は、脱原発か、原発維持か、そのロードマップを示し、国民の判断に供すべきだ。


 今週12日には、民主党の有志で「脱原発ロードマップを考える会」を旗揚げする。

今日の一言 トップに戻る