産経新聞の「極言御免」の事実誤認


  今日の産経新聞の「極言御免」に海水注入問題で、2011年5月21日付の「首相激怒で海水注入中断」という虚偽の報道記事に続いて事実誤認の記事が出た。何が事実誤認かを説明しておく。


  今日の記事では「官邸で一部始終を目撃した関係者によると、速やかな海水注入を求める専門家に対し、菅氏はこう怒鳴っていた。『海水を入れると再臨界するという話があるじゃないか。君らは水素爆発はないと言っていたじゃないか。それが再臨界はないと言えるのか。そのへんの整理をもう一度しろ!』」と記述している。


  確かに3月12日の午後6時ごろの会議で、再臨界の可能性について斑目原子力安全委員長に質問したことは事実だ。その後の検証で3月12日の夕刻当時、1号機ではメルトダウンした核燃料が圧力容器の底を熱で溶かして、格納容器の底にまで落ちて貯まっていたことが判明している。私に「再臨界の可能性」を伝えてくれた外部の原発の専門家は、格納容器の底に貯まった核燃料の形状によっては再臨界の可能性がある。つまり核燃料が大きな塊状になると再臨界の可能性が生ずると指摘。東海の臨界事故も液状の核燃料が容器の中で大きな塊状になったために生じた事故である。当時私は再臨界事故に驚き、詳しく調べていたので、再臨界が形状によって生じることは理解していた


  私が3月12日の午後6時ごろの会議で原子力安全委員長の斑目氏に聞いたのは、彼が原子力の専門家で、原災本部長である総理に助言する立場だったからだ。


  「海水を入れると再臨界するという話があるじゃないか。」と私が言ったと産経の記事は述べているが、あり得ない話だ。海水注入は冷却のためで再臨界とは別問題であり、淡水か海水か基本的に再臨界には関係のないことを私は知っていたたからだ。記事では「官邸で一部始終を目撃した関係者」によるとなっているが、多分原子力の専門家でなく再臨界について詳しくない人が、混同したのだろう。


  斑目さんは私の質問の意味を理解したうえで「可能性はゼロではない」と答えた。再臨界の可能性はデブリの取出しなどをめぐって今でも議論されている。3月12日当時議論したことは間違っていなかった。海水注入は7時過ぎから始まっており、産経の2011年5月21日の報道のように中断された事実はない。注入を始めていた海水に後から再臨界の防ぐためホウ酸を混ぜることになったというのが事実であり、議論は役立ったのだ。

  

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