考えることの多かった一年


 今年も余すところ3日。考えることの多い一年だった。その一つは国民の多数が願っているはずの「原発ゼロ」がなぜ選挙の結果に結びつかないかということ。


  今や原発が安全と思っている人はほとんどいないはず。その上原発が安いエネルギーということが間違いだということも広く知られてきている。そして自民党が本音原発推進の政党であることも大半の人は知っている。それでもなぜ原発推進の自民党が選挙で勝つのか。


  現役官僚と言われる、原発ホワイトアウトと東京ブラックアウトの著者は「電力モンスター・システム」がその権力を維持するために巨額の資金を背景に、政治家をはじめあらゆる分野に働きかけている結果だと指摘している。つまり、このモンスターに日本の民主主義が抑え込まれている結果だという。認めたくないことだが、そうとでも考えないと現状は説明がつかない。


  経済政策についても考えさせられることが多かった。大半のまともな経済学者は、アベノミクスは邪道だと考えている。つまり、日銀の金融政策で経済成長を実現するという考え方自体が邪道だと言う。金融政策で一時的な株価上昇や円安が実現できても、本物の内需拡大による景気回復ではないことは明らか。つまり人工的に一時的株バブルを引き起こしたのがアベノミクス。


  人口減少社会の将来を考えると、保育、介護、リハビリといった社会保障分野に財政を投入し、その分野のサービス実需を拡大し、一般企業と同水準の賃金による雇用を拡大する。こうした政策こそがが、デフレ脱却にもつながると考え、私が総理の時を含め民主党政権は基本的には子供手当の拡充などそうした政策を進めてきた。こうした政策は今考えても間違っていない。


  安倍政権の経済政策はすべて大企業やお金持ちがより大きな利益を受ける政策。それが賃金の低い層にも恩恵をもたらすという「トリクルダウン」理論は全く実現せず、賃金格差、資産格差がますます大きくなっている。


  しかし、ここにも大きな矛盾がある。非正規雇用に甘んじる若者など、格差拡大政策の被害者と言えいる人の相当割合が、リベラル嫌いで、国家主義的で金持ち支援の安倍総理に親近感を感じて投票していることだ。


  こうした本質的な矛盾の背景には「反知性主義」があると、佐藤優氏は言う。反知性主義的社会では各人が「思いたいように思い込む」ため、議論が成り立たず、民主主義が機能しない。危ない社会だ。

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