角を矯めて牛を殺す特許制度の改革


先日民主党の知財本部で、特許庁、知財本部、弁理士会から、特許出願の状況や職務発明について話を聞いた。


  特許出願の件数では少し前まで日本が世界で最も多かったが、近年出願件数が減り、現在は特許出願件数では中国がダントツになっている。出願件数が減っているのは大企業は件数を絞って外国出願に重点を置き、中小企業の出願も伸び悩んでいるからだという。


  最近の技術開発はベンチャー企業によるものが多い。ベンチャー企業にとって特許出願には費用と手間がかかり、負担が大きい。私も若いころ数件の特許出願をし特許を取得した事がある。特許が取れたからと言ってすぐには利益につながらず、資金的にそれ以上技術開発を進めることがっできなかった。特許出願などの面でベンチャー企業を支援ことが必要だ。100件の出願の中に1件中村修二さんの様な発明があれば十分意味があるはずだ。


  職務発明について、現政府は発明を発明者でなく企業の発明とする制度改革を進めようとしている。これについて出席者から意見が噴出した。青色発光ダイオードを発明した中村修二さんは職務発明を最初から企業の発明とすることに強く反対している。発明者の発明意欲を削ぐことになるからだ。私も有能な研究者が外国に流出することが心配だ。


  近年世界で活躍する日本人スポーツ選手が急激に増えている。背景には高額の報酬が魅力になっている。中村修二さんは青色発光ダイオードの発明に対して、裁判で数億円の和解金を得た。スポーツ選手ではもっと大きな報酬を得ている日本人は多くいるが、発明者への報酬として数億円は日本では極めてまれなケースだ。大きな発明をすればスポーツ選手の様な報酬が得られるとなれば、発明者を目指す若い人が増える事が期待できる。


 大企業の場合、技術開発はチームプレーで行うので、発明者との間でトラブルが起きないように最初から企業の発明と決めておきたいという意見が強く出されてきた。これまでも職務発明については、事前の契約で企業が特許出願をする権利を得ることは認められている。発明という人間の行為まで企業の行為とすることは行きすぎだ。


 大企業の都合ばかりを考えて、発明者に意欲を失わせることは、まさに、角を矯めて牛を殺すことになる。

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