川内原発と航空機衝突やテロ時の指揮命令系統


  川内原発の審査書を読んでいる。その413頁には「故意による大型航空機の衝突その他テロリズムへの対応」という項目がある。


  その415頁c.項では、こうした場合「通常の指揮命令系統が機能しなくなる可能性を考慮する」とある。しかし、具体的にその場合誰が何をするかについては何も書かれていない。


  今回の原発事故に対応する体制は民主党政権になる前の自民党政権時代にできていた。事故対応は、原発のサイト内は原則電力会社が行うとされていた。行政の体制は総理が原災本部の本部長となり、事務局は原子力安全・保安院が担い、助言機関として原子力安全委員会が当たることになっていた。


  しかし、福島原発事故のような全電源喪失、冷却機能の停止、メルトダウンの発生を全く想定していなかったため、現場も計器が機能不全となり状況が正確に把握できず、東電本店、保安院、安全委員会も当初、現状把握ができず、見通しも対策案も何も示すことができなかった。その上、東電の会長、社長は不在で、保安院もトップは経済官僚で原子力に専門家でなかった。まさに当初、通常の指揮系統が機能しなかったのである。そのため異例であることは承知の上で、本部長である私自身が現場の指揮官、吉田所長と話をするため、現地に飛んだ。


  もう一度、福島原発事故と同じような事故が起きた時にも通常の指揮系統だけで対応できるとは思えない。まして航空機の衝突やテロに電力会社だけで対応できるはずがない。アメリカでは原発事故に対して各州の州兵が対応する体制が用意されている。日本で過酷事故やテロに対応するには、自衛隊にやってもらうしかない。そのためには法整備が必要だ。


  安倍総理は集団的自衛権には熱心だが、原発へのテロ対策は何も進めようとせず、「世界最高水準の安全性」と根拠のないことばかり発言している。川内原発の審査に関連して、国会で議論すべきだ。

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