証言班目春樹「原子力安全委員会は何を間違えたのか」


  証言班目春樹「原子力安全委員会は何を間違えたのか」(新潮社)を改めて読んでみた。事故発生当時、原子力安全委員長であった班目氏は、私や官邸にいた政治家に厳しい評価をしている人だ。同時に「敵前逃亡した保安院院長」と保安院にも厳しい。


  しかしこの本を読んで、斑目氏が専門家として客観的にみているところも多いことが分かる。特に第4章の「安全規制は何を誤ったのか」では、シビアアクシデント対策が先送りされていたことを指摘し、188ページで次のように述べています。


 「先送りしてはいけなかったものの代表例がシビアアクシデント対策でした。しかし、原安委(原子力安全委員会)にはこれに対応した審査指針はなかった。というのも、原子炉を新設する時の評価指針では、シビアアクシデントは起きないことになっていた。(中略)起こらないことを保安院と原安委が原子炉の設置前に『確認』しているのに、その起こらないことが起きた時の対策を指針として定めているのはおかしい、というわけです。」


  保安院と原安委を解体して、独立性の高い現在の原子力規制委員会と規制庁を設置した。シビアアクシデントへの対応についても当然検討しているはずだが、専門的能力と時間とが相当に必要で、現時点でシビアアクシデント対策が十分できているとは見えない。


  例えば先日のNHKスペシャルは、消防車からの注水の半分以上は圧力容器ではないところに漏えいしており、すべてが圧力容器に届いていればメルトダウンは回避できた可能性があると指摘していた。その原因となった複雑に分岐した配管がそのままなら,消防車を何台も配置したからといってそれで十分とは言えない。

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