安全神話の復活


 福島原発事故の重要な事実関係について、改めて各種の報告を読んでいる。


  各種事故報告書は膨大で、発表当初、政治家の対応などに注目が集まった。事故の事実関係、つまり、どの原発がいつの時点でどういう原因でメルトダウンや水素爆発を起こしたか、といった技術的なことは、重大なことでも一般にはあまり注目されなかった。


  これらの報告書とその後の各種専門家の検証から、今回の原発事故が起きるまで、過酷事故に対応する訓練も行われておらず、消防車による水の注入もすべてがぶっつけ本番で、過酷事故に適切に対応する能力を欠いていたことが明らかになってきている。


  例えば、1号機が地震発生から4時間後に最初にメルトダウンを始めたのは電源がなくても動く緊急冷却装置IC(アイソレーションコンデンサー)が停止していたのに、動いていると誤認したことにあるというのが各事故報告書の結論である。そしてその後の検証で、1号機のICは過去40年間、試験運転をしておらず、運転した時の状況(音や水蒸気がどの程度出るか)を現場にいた技術者の誰も知らなかったという。これで「安全技術のレベルが高い」といえるのか。


  福島原発事故があり、徹底的検証が終わっていないにもかかわらず、安倍総理は原発を買うのなら一番安全性の高い日本製を買ってほしいとトップセールスに励んでいる。安倍総理は何を根拠に安全性が高いと言うのか。逆に、外国に売り込むことで我が国の原子力技術はトップレベルにあるという神話を復活させようとしているように見える。

今日の一言 トップに戻る