菅直人が語る原発事故(1)


菅直人が語る原発事故(1

はじめに

福島原発事故から約14か月が経過した。この間、政府や国会事故調などのヒヤリングを受け、また取材にも限られた範囲で応じてきた。記憶が確かなうちに、事故当時、総理大臣であった私自身の言葉で福島原発事故について書き残すことが、二度と同様な事故を起こさないためにも必要と考えて筆を執ることにした。当面このブログで、当時のことを語ってみたい。

福島原発事故の原因の大半は、事故発生の2011311日以前にある。これが私の結論だ。

その例をいくつか挙げてみたい。事故を起こした福島原発の第一サイトはもともと海面から35mの高さの高台だった。それを海面から10メートルの高さまで土を切り取って建設している。海水をくみ上げるためにわざわざ低くしたものと思われる。当時のことを記録した東電の社史には、「先見の明があった」と述べられている。歴史を紐解けば、三陸海岸には何度も津波が襲っていることが記述されている。しかし、三陸海岸に続く福島での原発建設では、津波のことが考慮された気配は全くない。

もう一つの例は比較的最近のことである。アメリカは2001年、911のテロ後、原発へのテロ攻撃で全電源喪失が起きる可能性を考え、対策を講じている。そのことは我が国の原子力安全保安院にも伝えられていた。しかし「日本ではテロは起きない」として、全電源喪失を想定すること自体を否定し、対策も講じていなかった。アメリカと同様な対策を講じていれば事故の拡大は防げていたはずだ。

原子力安全保安院が原子力推進の中心官庁、経産省の一部門であったことも、安全性軽視の象徴だ。安全性をごまかすための「やらせ」を指導するような保安院が、安全性をしっかり監視できたとは思えない。

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